3月4日土曜日に初めてその田舎町にある小さな小さなミニチュア電化量販店みたいなH電気の店内を見たときは、何もかもがびっくりの連続だった。
大型店では半年程前にすでにモデルチェンジして展示品ですらもう店頭から姿を消してるような商品でも、堂々とあたかもこのシーズンの新発売製品のような顔をして店頭に並んでいたから。。。
(でも、そんな型遅れの商品が並ぶ店内でもSharpの製品、特に液晶TVとDVDレコーダーは、一番最新の商品が勢ぞろいしていた。どういう事だろう?メーカーの人が展示品がまだ売れて無くても、新モデルが出ると回収しにきて新しいモデルを展示しちゃうのか?それともSharpは人気なので新モデルが出る時期に合わせてちゃんと店内中の旧モデルが売り切れ新モデルを置く場所も出来るのか?)
品数も限られたスペースの店内に一通りの電化製品を置く為に、掃除機なら全色置かないで赤色だけとか、液晶TVなら売れ筋の32型サイズは店頭に置いても、他のめったに売れないサイズは置いてないし。。。
ウォークマンとかに付けるヘッドホンも大型店のY電気には全部で100種類位置いていたけど、この小型店には全部で5種類とかしかないし。
5.1チャンネルのシアターセットも大型店のY電気には店頭に10種類位の展示品が並んでいたけど、この小型店には、Pioneerのが1種類しか置いてない。だから「シアターセットつけたいんですけど」って思うお客さんがいたら「ハイ、じゃあコレになります」って感じ。
選ぶ余地が無い。
そんな限られた品数の中で選ばないといけない。。。それに店頭に出てる商品は最新の新発売の商品は少なくて、旧型の1シーズンとか(下手すると2~4シーズンくらい)遅れてる商品群が多いからその中からしか選べない。
お店で使うFAXだって大型店のY電気にはスキャナー、コピー機、FAXなどが一体になったタイプ置いてあるし、お客さんが使うトイレもウォシュレットで清潔感たっぷり。
なのに小型店のFAXはプラスチックが黄色に変色してたから多分10年~20年位前のモデルじゃないかしら。
トイレも和式でタイルとか年期入った色に変色してた。
で、そんなこんなで、この小型店の事をちょっと小ばかにした私だったけど、日曜日に2日目として働いてみて有る事に気付いた。
Y電気では店長と副店長は基本的にお店に出て接客はしない。服も他の社員みたいな黒いベスト着ないし。「親切係」と書かれたでっかいバッチもつけない。基本的にスーツ姿。彼らは上司らしく威厳に満ちていて仕事中は怖い。いつも売り上げの数字を気にしてて前年度より売り上げが伸びてないと各コーナーのフロア長に怒鳴ったりしてる。フロア長は人が足りないと接客もするけど、基本的には司令塔なので、社員に「今45型の液晶TVの前に立ってるお客さんの接客行って」と指示を出すのが仕事である。
ところが、H電気では店長自らが店内で接客をする。レジも打てば、ファンヒーターを買ったお客さんの車まで商品を運んだりもする。制服も全く他の社員と同じで、赤い派手なハッピも着れば、紙製の赤いサンバイザーも頭に付ける。とても腰の低い、愛想良い、人のいい店長って感じ。いつもニコニコ笑ってる。
驚いたことにH電気では、社員の誰も、個人のその日の売り上げを伸ばすことに必死になっていない!!誰も売り上げの話をしていない、実際!!
で、売り上げのことを言われないから、お客さんが壊れたラジカセを店に持ってくれば、手の空いてる人が「あら、どうしましたぁ?」みたいな感じでお客さんの方に寄っていく。
Y電気では絶えず売り上げを伸ばす事に重点が置かれ絶えず社員同士の競争が有るので、故障品のラジカセを抱えて店内に入ってくるお客さんを見ると社員が逃げる。見てみぬ振りして「やっかいなのに」つかまらないように隠れる。
だって、絶えず個人の売り上げの事を言われるので修理依頼の作業をすると自分の売り上げは伸びないし、その間に高額な商品を買ってくれるお客さんを逃してしまうかもしれない。
高額な商品(例えば大型で高額なプラズマTV)を見に来て、しかもある程度すでに商品知識が入ってて、「あとは値段だけ聞いて、安ければ即買います」みたいなお客さんは、売り上げ超重視のお店では、お客様様様の扱い。店員もニコニコと喜んでお相手してくれる。
でも安い1~2万円台のブラウン管TVを買いに来てるお客さんで、しかも細かい機能について延々と質問してきたり、ケーブルTVや地上デジタル放送について、1から10まで説明を求めてくるお客さんは「面倒臭くて、やっかいなお客さん。」
しかも、そういう単価の安いTVを買うのに延々と長時間説明を求められ「じゃ、考えてから明日また来ます」なんて言うお客さんは、店員の個人売り上げが伸びるのを妨げる「邪魔者」でしかない!!!
だから自然と液晶TVコーナーとか単価の高い、売れると自分のその日の売り上げが、う~んと伸びる美味しい商品の接客しか、したくなくなる。
当然蛍光灯売り場とか、ヘアードライヤー売り場とか、単価が超安くて、説明するのも面倒臭い商品のコーナーには近寄りたくも無いし、万が一「何かの間違いで」お客さんに「すいませ~ん!この蛍光灯とあの蛍光灯の違いは?」なんて引き止められたりすると、イライラする。
「そんなもん、いちいち店員に聞くな!自分で文字を読んで考えろ!」なんて気分にもなる。
一方売り上げの事をうるさく言われないH電気では、古い蛍光灯を手に持って蛍光灯売り場に向かうおじいちゃんとかを見かけた店員が、心配そうにおじいちゃんの様子を伺っている。
でも、おじいちゃんはきょろきょろしてて、どれを買っていいのか迷ってる様子。たまらなくなった店員が蛍光灯売り場までわざわざ覗きに行って「大丈夫ですか?分かりますか?」って声をかけていた!!!
一本何百円しかしない蛍光灯の為にここまで親身になって心配してくれる店員ってすごいよ!本当に!!
そして、こんな接客が店内の至る所で見られる!!!
どの店員も、アンテナのパーツ選びの相談とか、ストーブの着火に使用する小さな部品選びの相談とか、SDカードのどの容量のを買ったらいいかの相談とか、蛍光灯選びの相談みたいな、小型で単価の安い商品の説明にもニコニコして応じてる!!!
ちゃんとお客さんが納得するまで、時間をかけて説明し、レジでも「ありがとうございましたぁ」って、ニコニコしてお見送りしている!!
Y電気では、こんな接客絶対に有りえない。
Y電気で蛍光灯を買う時は、すべてセルフサービスが「常識」だもん。
単価の思いっきり安い商品に、こんなきめ細やかで丁寧な接客は、売り上げ第一のお店では絶対に無理。競争に勝ち抜く為には、「そんな売り上げにもつながらない無駄な接客」に時間を費やしてる暇は無いのだ!って感じ。
H電気がたとえ価格では、もうY電気に勝てなくても、接客とかアフターサービスでは負けないという由縁はココに有り!って感じだった。
例え最新式の新発売の商品が並んでいなくても、色が全色店頭に置いて無くて限られた中からしか選べなくても、値段が多少高くても、やっぱりH電気の根強いファンがいるのが分かる気がした。
こんなサービスと接客されることに慣れている人が、Y電気で蛍光灯の質問して嫌な顔されたら、たまんない気持ちになるんじゃないかな?
H電気のように、あんな素晴らしい接客をしてる所は、そう簡単にお客さんは離れないだろうな。。。店員もお客さんも、ほのぼのとして、まさに近所の町の電気屋さんって感じの接客。
全くたまげた。